一条の光と護るべきもの
これは魔王リヴァが、魔王軍を率いてまだ間もない時の話…。
「リヴァ様、どうか私めの村をお救いください…!食料が足りないんです…!」
「わしの村が先じゃ!わしの村は飢餓でもう何ヶ月も苦しんでおる」
「何を言う、こっちが先だぞ!!こちとら人間の野郎に襲撃受けて半壊なんだよ」
「……わかったわかった。順に回るから。それ以上喚かないでくれ」
この頃のリヴァはまだまだ子供。(人間で言えば、12歳くらい)
なのにも関わらず、これまで多くの魔物の村を救ってきた実績があった。
その噂を聞きつけた魔族の村の住民達は、至る所からリヴァに救援を求るようになっていたのだった。
「…じゃ、マギシー頼むよ」
「もー、人使いが荒いわね(人じゃないけど)」
「…錬金」
「お、おぉ…!村にあった瓦礫が、食料に!?」
「…これで一ヶ月分かな。無くなったら、また補充しに来るからこれで凌ぐといい」
「ねぇリヴァ!!」
マギシーが叫ぶ。
「…どうしたんだいマギシー?」
「あんた、何個も何個も村の食料を私に錬金させる約束取り付けてさ…流石にそろそろ手に負えなくなってくるじゃない」
「仕方ないじゃないか。物体を全く別のものに変換できるレベルの錬金魔法を使えるのは、マギシーしかいないんだよ」
「だからってこうも毎日のように村を回らされる身にもなってみなさい」
「…僕も、同行してるけど?」
「やかましい!」
「……確かに、マギシーひとりの手じゃ大勢いる魔物の村はもう手に負えないだろう」
「自給自足できるようにしてあげればいいのよ」