魔王城 - 【SS】凱旋
膨大陸、ヒイラギシティ。
普段は多数の車が走る市のメインストリートには、『帝国』の国章の描かれた旗を掲げた兵士を先頭に、グースステップの兵士が役所へ向かい進む。
それを見るのは不安げな市民たち。
そして、市民たちの視線の先には漆黒の馬に跨がり進む祟り神───
その顔は鉄仮面と評するのが相応しいくらいの無。
ぱかり。馬が歩む度、祟り神の背から瘴気が出る。
その瘴気に触れた市民の目は途端に恐れから崇拝に変わる。
人によっては狂喜し自ら瘴気を浴び、体を蝕まれ死んでいく。
嗚呼、嗚呼、嗚呼。
兵士たちが歌い出す。
市民も歌い出す。
その歌は波及し、大陸中を覆う。
それは、帝国の復活を祝うかのように。