気づいたら魔王城が建ってたwikiです

111話『防衛作戦開始』


「わーレオン、一緒にいるその人達ってもしかして!」

あの後、優也たちは朝食を摂ろうと宿へ帰った。
道中まではレオンの家と同じ方角なため、
レオンと同行している最中で、
彼の幼馴染であるコチカと出会うのであった。

「察してる通り、昨日話した奴らだ。
丁度よかったな、紹介するぜ。こいつはコチカ。
……なんつーか、昔からの腐れ縁だ」

「腐れ縁って何、幼馴染って言えばいーじゃん。
あのね私、コチカ!レオンとは幼馴染なの、よろしくね!」

「元気な子ね、よろしく!」

レオンの幼馴染コチカと優也達は挨拶を交わす。
明るい性格の彼女に、優也達はすぐに打ち解けあった。

「へぇ、冒険の途中でつい最近、ここに来たんだ。
じゃあレオンに友達が出来たってわけでもないんだ…なあんだ。
……もしかしてリアンナさんに担がれたのかな」

「いや、勘違いしてるだけだありゃ」

「でももう友達みたいなもんだよね。夕飯までご馳走してもらったし」

「あんなぁ……まあ否定する理由もねえか」

「てか、時間がもう少ししかねえな。
お前らもう顔合わせはすんだろ、ギルドに行ってろ」





112話『魔物の大群』

113話『とどまることのない勢い』

114話『先へ』

115話『見えてきた諸悪の根源』

116話『ルーヴ達の激闘』

117話『狼牙の流血』

118話『食い止めて見せる』

119話『トラウマ』

120話『私が守ります』

121話『魔物で埋め尽くされた道』

122話『体力の限界』

123話『レオンの覚悟』

124話『紅い目』

125話『拒絶の氷界』

126話『生きてまた逢えた喜び』

127話『帰り際の犠牲者』

128話『違反5つ』

129話『いつか帰ってきてください』

130話『四人目の仲間』

131話『乱暴者からの謝罪』

132話『旅立ち前の祝賀会』

133話『かけだし冒険者と獣のオキテ』

134話『』



「あの時だよ、レオの誕生日、モンスターの群れを倒した帰りだ。
…お前達こそこそ話ししてたよな?」

「…えっ、もしかして…聞こえてた?」

「あのな。獣人の耳を舐めてもらっちゃ困るぞ。
お前ら人間の、何倍も小さな音を聞き取れんだからな。
んで?魔王軍ってお前ら一体何を知ってんだよ、
気になってたんだ、聞かせてくれてもいいだろ?」

「…分かった。レオンには、話しておくよ」

優也達は自分らの置かれた状況を、レオンに説明する。

「……んな馬鹿な事あんのか…?」

「あったのよ!!でもなきゃ、私達今頃平和に暮らしてるわ」

「…まー仕方ねえ、聞いたのはこっちだからな、信じてやるよ。
んで?お前ら、その魔王ってのは倒せそうなのか?」

「……少し前なんだけど、まだ翠もいなかったし装備もこんなに整ってなかった時。
魔王軍の八大幹部ってのと闘ったんだ。…手も足も出なかったよ」

「あれからだいぶ強くなったし、翠も仲間になったけど…
今戦ってもそいつに勝てるかどうかすら怪しいわね」

「あちゃー、それじゃ魔王なんてのは夢のまた夢だな」

「ええ、だから私達はもっともっと、戦って強くならなくちゃいけないわ。
優也のイノーマスだって死戦を掻い潜って成長したんだから。」

「成長、か…。広い世界を自由気ままにさすらい、
己を高めて世界に名を馳せる旅。そんなもん、オレもやってみてえなぁ」

「そんな遊びっぽい感じじゃ無いわよ。私達は故郷を救うためにやってるんだから!」

「故郷ねぇ…その気持ち、オレにはあんまりピンとこねえ話だな。
…何しろここ、掟がくっそ厳しくて窮屈だからな」

「嫌なら引っ越しちゃえばいいのに」

「そう簡単に行くもんでもねえんだよ。金はかかるし、
母ちゃんの祖母の祖母の時代からあの村に暮らしてるって言う話だし…
簡単には出らんねえのさ」

「レオンも…大変なだねえ」

「や、やめろ。そんな哀れまれるほどの話じゃねえ!!」



「親父が死んでから、俺は母ちゃんに負担かけねえように
弟たちの面倒を見てんだ。
今俺が居なくなったらみんな飯が食えなくなる。」







「まだ……だ…!!」

「……ゆ、優也?何する気だお前…」

「俺はまだこいつの力を引き出せていない…!
俺に…俺に手を貸してくれ、イノーマス!!」

『任せろ』

剣から声が聞こえた。その瞬間、眩い光が
剣の峰から、優也を包むように放たれる。

「ぐおっ!……なんだなんだ!?」

「……?身体が、軽い……」

「優也、おめえ…目が……」

「えっ?」

優也の瞳は赤く染まり、
イノーマスの力をその身に纏っていた。

「……とにかく、まずは敵の軍勢を止める!!」

優也は剣を地面に刺す。
そしてそのまま魔力を込めて行った。

「アース・フローズン!!」

剣を刺した所から、急速に氷が広がっていく。
広がった氷に触れたモンスター達は、足を取られて動きが鈍った。
しかしなおも、動きは止まらないものもいる。

「まだだ!出力を上げる!!」

さらに魔力を込める優也。
氷は更に広がっていき、地面から足へ、
足からモンスターの身体を凍らせていく。

「す、すげえ魔法だ…ってかオレらもやられんじゃねえかこれ」

「制御も効くよ。味方のいる方に氷は送らない」

「器用なもんだ…」




「ウチの旦那はね……人間だったのさ」

「人間…それって…」

「アンタらとおんなじ種族って事さ。獣人でもなんでもないただの人間。
つまり、レオンや他の兄弟達は…人間と獣人のハーフなのさ」

「そ、そうだったんですか…」

「……実を言うと、旦那が死ぬまでレオン達にはずっとそれを黙ってたんだ。」

「な、なぜですか…?」

「まだ幼かったレオンは…獣人である自分を誇りに思ってた。
本当のことを言っても受け入れるにはまだ早いと思ったのさ」

「父親が殉職してしばらくした後、ある事が起きてレオンに本当の事を話した。
それを聞いたアイツは家を飛び出してね……」

そしてその事が周りのガキンチョ達にも広まっちまった。
それからはレオンのやつ、更に孤立しちまってさ。

……コチカもハーフであるレオンをいじめる奴らとは縁を切って、
今に至るってところさね






「…狼牙の流血!?」

「ここは俺たちが食い止める!!」

「……お前ら。はやく…いけ!!」

「…で、でも!」

「……チッ。認めたくはねーけど…アタイもな、借りの作りっぱなしはごめんなんだよ!!
手柄はくれてやる、いいからとっとと親玉をぶっ潰してきやがれっ!!」

「……わかった!!ありがとう!!」

「……アンタ達、死ぬんじゃないわよ!」

「ケッ…んなとこで死んでたまるかよ……!!」



「……おい、人数が減っているぞ。何があった?」

「…モンスターの強襲です。
回り道して挟み撃ちにされたんです」

「…どうりで、道中少なかったわけだ…
って、減った連中はどうした!?」

「食い止めるから先に行けと…。」

「馬鹿な!!」

「…今は、先に進むのが先決です!!
これ以上モンスターが増えれば…手が追えなくなるんじゃないんですか!」

「……仕方ねえ、か。わかった、責任は俺が負う。先を急ぐぞ…!!」


「きひゃひゃっ

「な、何!?喋ったわこいつ…」

「……ちょいと上級のモンスターだなこりゃ…。
ワープ魔法まで持ってやがる、厄介だ」

「ワープ!?っていうと…‥」

優也と楓が思い出されるのは、魔王軍の幹部とムチンの森で戦った時のことだ。
ワープの厄介さは重々身に染みてわかっている。
……だからこそ、彼女はここで敵を倒す事を決意した。

「ここは…私が!!」

「楓!?」

「おい、何を言ってるんだ!!また人数が減ればマカイゲートの討伐は更に…」

「私はワープ使いと戦った事がある!!
アイツを…のさばらせてたら、危険よ!!」

「……私も、残りますっ!楓さんを…援護します!!」

「み、翠……ありがと!」

「おっと、か弱き乙女二人だけ残しちゃ行けねえな」

「……オ、オルスさんまで!!」

「ご不満かな?Bランク冒険者であるオルス・ミドヴィベールの助力は」

「…いえ!!大いに助かりますっ!!」

「で、でもオルスさんが残っては、我々はどうすれば!?」

「なに、すぐ追いつく!!代わりのやつが先導しろ!
……なぁ、構わねえだろ!?
おめーらが先導して行け、レオン!!優也!!」

二人に後を任せたオルス。それは、Bランク冒険者である彼が
二人の実力を認めているという事だった。

「おうッ!!」「……はいっ!!」

「必ず…必ず、追いつくから!!頼んだわよ、優也!!」

「うん!!俺たちが…みんなを守る!!」



「あ…あぁ…ぁ……」

「ヒヒッ、どぉ〜した〜?足がすくんでるぜ、冒険者ちゃんよ」

眼前から威風堂々とした態度で歩み寄ってくる敵の姿。
心の底にあったトラウマが、死への恐怖心が、蘇る。

「…こ、来ないで…来るんじゃないわよ……!!」

「……楓さん!!」

「っひゃ!?」

楓の手を優しく握ったのは…翠だった。

「怖がる必要なんてありません。わ、私が楓さんを守ります。
楓さんが私にそうしてくれたように!!
モンスターが来るのが怖いのなら…
私があいつを、楓さんに近づけません!!」

力強い激励と同時に、翠が結界を生み出す。
猛獣と少女達の間を隔てる壁が生じ、少しの安心感を楓にもたらした。

「……翠…あ、ありがとう…」

「無理しなくても、大丈夫です。わ、私が…絶対に守って見せます!」

「……ふふっ、無理してるのはどっちよ。
なんかいつもと立場逆転しちゃったわね」

「おい、そんな事話してる場合か!!」

イーグルタイガーが翠のバリアに攻撃を繰り返している。

「……もうあいつなんかに…
あんたなんかに、怯んだりしないんだから!!メガサンダー!!」

バリアの隙間を縫い、電撃を打ち出す楓。

「グル…」

強い電撃は敵に大きな隙を作らせた。

「…今よ!!」

「よくやった!ダークネスデーモン!!」
「ハイウェーブ!!」

熟練冒険者達の、上級魔法がイーグルタイガーにヒットする。
流石のイーグルタイガーもこれには耐えられない。

「グッ…グガァ…!!」

「ひ、怯むんじゃねえイーグルタイガー!!
あんな奴ら、さっさと…!!」

「……これで、とどめよ!!!」

そして最後の隙をつき、楓は手にする杖を大きく振り下ろした。

「グォァー!!!」

イーグルタイガーは地に伏せ、その姿を光へと消した。

「……や、やったのかしら」

「やりましたよっ楓さん!!あのイーグルタイガーに、
楓さんは自ら向かっていったんです!!」

「…ううん、立ち向かう勇気をくれたのは、翠よ。
ありがとう…翠」

「ふふ、良い顔してるじゃないか…いい"冒険者"の顔だ。
……さて」

喜ぶ二人を横目で見ながら、オルスは敵の退路を封じようと動いていた。

「やっべ…」

「おっと。逃がさないぜ?」

ワープホールを生み出して逃げようとする魔族を止めるオルス。
闇属性で生み出されたワープホールは、光属性で意図も簡単に消えるのだ。

「え…なっ……ヒヒッ。お、俺をどーする気?」

「なーに。軽く魔界に送り返してやるだけだ!!」

オルスの渾身の光魔法が、魔族に飛ぶ。

「ぎゃッ…!!」

シュウ…と音を立て、一瞬で魔族は跡形もなく消えた。
おそらく魔界で目覚めた後に現世で死んだことに気づくのであろう。

「ふん、虎の威を借る狐はやはり弱い。
…まあ一瞬で消してやったんだ。一応楽に逝けただろう」

「さてっ!行くわよ、まだこれで終わりじゃ無いもの!」





「怪我をしているのか…!!」

「ああ、きっとモンスターに巻き込まれて、重傷を負ったんだ!!
息はあるが…危険な状態だぞ!!」

「楓…早く治療を!!」

「ご…ごめんなさい!今までの戦闘で私、魔力切れを起こしてるみたいで…」

楓は魔力切れで立ち続ける事も危うい状態だった。
回復役がもうこの場にいない以上、取れる選択は限られている。

「な、ならば他に、回復魔法を覚えてるやつはいないのか!?
…居ないならポーションでも良い!!持って無いのか!?」

静まる一同。しかし、ふとした所で楓はあるものを発見する。

「……!あ、あれ!!ポーションが落ちてるわ!!」

楓の指差す先、そこに確かにポーションが落ちていた。
見たところ、新品で使われていない。

「な、何故こんな所に新品のポーションが…」

「んな事どうでもいいっ!!早く使え!!」

サッとポーションを拾い、怪我人にかけようとするレオン。
しかし、それを止めたのはその場にいた冒険者の1人だった。

「まっ、待てよ!!
この負傷者は…外部の人間だ。
外の人間を俺たちが勝手に治療すると…掟を破る事になる!!」

「なっ、なにっ…!?」

「それも、違反レベル4の重罪だ。…この中にいる連中はみんな
バカやって違反ランク1以上なんだ。誰が治療しても
必ず村から追放されてしまうぞ!!」

この場にいる誰もが、彼を治療をした瞬間に
追放され村には二度と戻れなくなる。
絶望的な状況に翠は膝をついて声を荒げた。

「そ、そんな。
なんで…なんでダメなんですかッ!?人の命が、かかっているんですよ!!」

「…もういいわよっ私が使う!!この村から追い出されても全然いいもの!!
助かる命を見捨てるなんて、私は出来ないッ!!」

そう言って楓はポーションを奪い取った。

「ちょっと待て!!」

更にそこからポーションを奪取するレオン。

「ちょっと、レオンの馬鹿!!止めないでよっ、今すぐ治療しなきゃ、この人ッ…!!」

「違う!!
…楓、お前の言う通りだぜ。
救える命は全部救うのが正しい。それを縛る掟なんて、
…そんな集落、俺もクソ喰らえだ!!」

そう言いながらレオンはポーションを怪我人に投与した。

「…れ、レオン!それじゃアンタがこの集落から…」

「ははっ。…後先考えずにやっちまったぜ。こりゃ母さん達に申し訳ねえや。
でも…みろよ、みるみるうちに傷が塞がっていく。
呼吸も穏やかになった。助けられて…ほんとによかったぜ」

「レオン……」

「ん?いいんだ気にすんな、追放なんて今更…」

「……バカ」

「んなっ!?おい、なんでだよ!!
折角、違反を肩代わりしてやったってのに…」

思いもよらぬほどそっけない楓の反応に驚きながら怒るレオン。
そんな彼に楓は少しバツが悪そうに語る。

「いや…そんな事しなくても私…ていうか私たち、どっちみち今回の事が終わったら
すぐここを旅立つ予定だったから。別にこの村を追い出される事になっても
あんまり困らなかったって言うか…」

「そっ、それじゃあ…」

「…勢いで損したわね、レオン」

「そう言うことは早く言えよぉおおッッッ!!!!」

覚悟を決めてたレオンも、流石に
この仕打ちには肩をガックリと下ろした。



「賀王夜レオン、貴様は先日の行いにより、とうとう違反ランク5を
超えたようだな。よって掟に則り、直ちにヴィルデスを追放するものとする」

「あ、あのっ…なんとかならないんですか?レオンは人の命を救うために…」

「よせよ楓…。もういい、過ぎた事だ」

「いい訳ないでしょ!あんたの家族はどうなんのよ?あんたの稼ぎで何とか生計繋いでたんでしょ!!」

「そ…そりゃお前、アレだ!!外で俺が稼いで、そんで外から母ちゃんに仕送りすりゃいいんだよ!!」

「バカ言うんじゃないよ」

「……か、母ちゃん」

「いつまでもあんた一人に頼らなきゃいけないほどあんたにおんぶに抱っこなあたし達じゃあないよ」

「だけどよ!!俺の稼ぎが減ったら…
アイツらの欲しいもんとか、買う金も余裕が無くなってよ…」

「その心配は…
「レオンさん!!」

親子の会話に、割り込む男が一人。

「……誰だ、おめえ」

「申し遅れました。…私はONESのボス、○○の息子です。
あなた方に伝えたいことがあって参りました」

「私はあなたのお父上…賀王夜 嶺緒に命を救われたのです。
そんな命の恩人が、今まで村の掟で窮屈な暮らしを強いられ
今や追い出されそうになっている。その事実に私、耐えられないのです」



「まあ…うーん…そうだな、どうせこの村には居られねえんだ…結果オーライなんじゃねえか?
色々こんがらがって…俺も訳わかんねーや。
おめえらも元気でよ!俺は新天地でバリバリに冒険者として名を馳せるからよ!」

「……ちょいとお待ちレオン」

「あぁっ?んだよ母ちゃん。今、いい感じに別れる雰囲気だったのによ」

「アンタ本当はどうしたいんだい?」

「………は、はぁ?」

リアンナの問いにレオンはまた、言葉が詰まるのだった。

「アンタは迷ってんのさ。ほんとはこの三人と、冒険に出たい。
だけどアタシら


「…その心配はないよ。ほら、これが今ウチにあるお金さ」

リアンナはそう言い麻袋を取り出した。中を覗いてみるとぎっしりと札束が詰まっていた。

「はあ!?どうしたんだよその大金!!」

「先日アンタが持って帰った短刀、あっただろう。
アレをギルドへ鑑定に出してみたところね、伝説の秘宝って事が判明したのさ」

「あ…あのチープな短刀がか!?」

「という訳でレオン、あんたがいなくてもうちはやっていけるのさ」

「んなアホみてえな話…信じられっかよ……」

「ま、とにかくだ。ウチらはあんたが居なくたってやってられんだ。
独り立ちしたって幾らでもかまやしないよ!!」

「……わーったよ。そこまで大丈夫と言われちゃ俺も心配しようがねえ。
俺も親父みてえに冒険者として名を上げてやらぁ…」




「……また、村から出てっちゃいましたよ村長」

「フン!!古くからの風習を理解できぬ若者どもが増えて困るわい!!」

「ですが村長、このままやり方を変えぬままでは、いずれ廃村になるのも時間の問題です」

「なんだと…!!」

「もう、厳重に掟で村民を縛るのはやめにしませんか。以前から不満の声も上がってました、
我々ONESのみが掟を免除されるという実態に。今回の魔物の暴走により
その不満はさらに爆発する事でしょう」

「くっ……」

力なく地面にもたれる村長。

(この村はきっと、変わる。
…賀王夜レオン。俺は、これから集落を変えてみせる
掟で追い出す形となってしまったお前でも、帰って来れるような集落に…

だから近い未来…その時が来たら、こんな集落で良ければいつか…きっと……
お前の偉大な両親と、そしてお前自身が育ったこの"故郷"に…)

戻ってきてくれ。

青年が、そう想いを馳せる。
自身を救ってくれた偉大なる冒険者の血を引く男へ。
集落を救い、掟を破ってまで小さな命を助けた男へ。

この集落もまた…。変わっていくのだ。
希望に満ちた方向に、より良き未来へ…。


「オイ……」

「狼牙の…流血。
ああ、そうだ。あの時は…ありがとう。
あなた達がいなかったら、きっともっと被害が出てたよ」

「…俺たちは借りを返しただけだ」

「それよりもよ……アタイはずっと聞きたかったことがあんだ」

「……なによ?」

「おめえら……なんであの時、アタイらを助けた?」

「あの時って……?」

「馬鹿か、忘れたわけじゃねえだろうが!あのイーグルタイガーに襲われてた時ん事だよ…」





「今まで…メーワクかけて悪かったな」

「どういう風の吹き回しだ?」

素直になれないのやら、悔しいのやら口を閉ざすルーヴ。
代わりに、ロプスが代打で口を挟んだ。

「…俺たちは今回…他所モンを騙そうとした挙句、
その他所モンに助けられちまった。



「ほぅ、お前たちが心を入れ替えるなんてな。夢にも思わなかったぜ」

「チッ…んで、どーなんだよ?
アタイらが冒険者やんの…正式に許してくれんのか?どーなんだよ!!」

「…………わーったよ、許してやるさ」

「ほ……ほんとかっ!?」

「ならよォ……
旅立つ準備の前に、今まで迷惑かけた方達に謝罪周りに行かねえとなあ!!」

「なっ!?だ、誰がそんなメンドクセー事を!!」

「あぁー!!やっぱオメェら反省してねえなッ!!
それならお前らの旅立ちを許さんぞ!!」

「馬鹿野郎ルーヴ!思っても言うんじゃねえよ!」

「思ってもって…お前もかロプス!!」

「だぁーーッ!!ケジメをつけるってめんどくせえなぁ!!!!」

この後、二日間かけて彼らは
これまで迷惑かけた他の冒険者やギルド達に贖罪巡りとなるのだが……
ここではその物語は、語らないでおこう。





「準備はできたか?」

所変わり、ある一つの家。
…彼女がかつて育った思い出の場所だった。

「ああ、俺はもう万全だ、いつでも出れる。
……ふっ、ルーヴ。お前少し嬉しいんじゃないか?
晴れてこうして旅が出来るようになる日が来るなんてよ」

「…るせぇっ!さっさとアタイらも名を上げて、あいつらに追いてかれねえようにすんぞ!!」

「アネゴ、…おれも頑張る!」

「あったりめーだ。あの人間達、見てろよ!
アタイらが先に名を挙げて、ギャフンと言わせんだ!!行くぜ!!」

「ああ!」「うぉおおッ!!」

地元で悪名轟かせていた彼女らも、
世界から見ればまだまだかけだし。

故郷との確執も解け、新たな装いと志を胸に
かけだし冒険者は、世界へと旅立っていくのだ。

第三章 かけだし冒険者と獣のオキテ END



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うぅ…なんで魔王軍に乗っ取られなきゃいけないんだ…(T^T)